VRanko電装系について


B3 野田 陽@悪魔普及研究室


今回、あんこ製作所からVRankoの電装系を受注した。ここでは簡単にそのVRankoの電装系を示し、今後汎用的に使えそうな回路について詳しく述べようと思う。


VRanko電装系概略


VRankoのシステムは電気的にはfig.1,fig.2のように、アクチュエータ及びセンサーに接続されている。


DrawObject


PC(SCI)












fig.1 アクチュエータ回路




DrawObject













fig.2センシング回路

アクチュエータについて


今回はオリエンタル製のモータドライバが使えたので、モータを回すにはシリアル通信からのデータを適宜変換するだけでよかった。具体的にはマイコンでは以下のような処理を行っている。


非常停止回路について


今回は出力がさほど強く無いとはいえ、人を乗せて動かす以上安全には気を使わざるを得なかった。そのため非常停止回路に下記のような複数の入力がある。

しかし、真に有効に働いた非常停止信号は手動停止スイッチのみであった。

ロータリーエンコーダの速度超過はパルス入力にRC回路で遅延をかけて、元の入力信号をクロックとしてその遅延信号を取り込むことにより1パルス以内の高速な反応を得ている。


次に、非常停止回路の動作を示す。

  1. 非常停止信号検知

  2. ブレーキ作動

  3. 1秒間待つ

  4. モータ電源オフ

上記のような順番で動作する。3のフェーズで1秒間待っているのは、この待ちが入らないと非常停止をかけたばあいモータの支持がなくなり人が落ち始めてから、いきなりブレーキが利いて大きな衝撃が加わるため非常に危険であったからである。


センシングについて


今回のシステムでのセンシング対象は

以上のとおりである。上記の対象をセンシングするために、足振りのためにCCDカメラ、椅子の位置のためにロータリーエンコーダ、手摺の荷重を測るのにリニアポテンショ、椅子の傾きのためにロータリーポテンショを用いている。

足振り以外のセンサーはあまりにもメジャーなセンシングデバイスなので説明を省略する。

足振りセンサーについて


足振りセンサーには、最近ロ技研の一部で流行っている画像認識を用いた。認識の方法は開発期間が2週間と短かったため、単にある大きさを持つ高輝度点を探す方法を取った。光学的にはカメラのレンズの所から赤外線LEDを光らせふくらはぎの所に貼った再帰性反射材を検出するようにした。



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DrawObject

反射材が光源に
向かって光を反射する



再帰性反射材







画像認識について


今回の画像認識には前回悪魔研で製作したビデオキャプチャ(参照:研究報告書34号の訂正情報の図面)を改造して用いている。

アルゴリズムとしては下記のようになっている。

  1. 水平1ラインを取り込む。その際、その1ラインのうちで最大輝度の点の位置と輝度のみを記録してあとのデータは捨てる。その際ノイズに弱くなるのでターゲットの大きさにあわせてローパスフィルタをかけておく。

  2. 全てのラインを取り込んだら次の手順に基づいて垂直方向の評価値を算出する。

  3. ある垂直座標yでの水平ラインの最大輝度の水平座標をxとする。y±nでの範囲で且つそこでの最大輝点の水平座標がx±mの範囲であるものの最大輝度を足し合わせ、そのy座標での評価値(輝度合計、x)とする。

(m,nはターゲットの大きさで決定)

  1. 全ラインに対して評価値を求め、その評価値の輝度合計が最大であるところの座標(x,y)にターゲットがあるものとする。またその輝度合計ははターゲットが視野を超えた時著しく下がるので、その判定にも用いる。



今回の画像認識は高速化するためにインチキ技術(IT:Intiki Technology)が用いられている。

IT其の1:アナログ回路とプログラムによる演算

今回は開発時間がなかったのでマイコンにAKI-H8を使わざるを得なくなってしまった。このため転送速度及び処理速度に著しく制限がかかったので、プログラムによって画像を処理するには限界があった。したがって上記のアルゴリズムの1番の処理でのローパスフィルタが非常に重くなるのでローパスフィルタだけはアナログ回路にて演算した。

IT其の2:フライング取り込み

前回書いたビデオキャプチャの仕様では取り込み終了時にEND信号が立つのでそれを見てから取り込むようにしていたが、今回は処理速度が必要なので取り込み開始信号(Active)が立った時点で取り込みを開始した。


回路図

この回路のうちFP&TPという所にローパスフィルタ回路をはさむことになる。

また、図ではEND信号のところにまっとうにENDがつながっているが実際にはActiveと書いてある配線がEND信号につながっている。



左の図がローパスフィルタになる、クランプが必要となるのでel4581からのバックポーチ信号を入力してクランプしている。






認識サンプル

実際に足振りを検知した時のグラフをサンプルとして挙げておく

X座標の値がないが主にY座標方向にしか足を振らなかったので省略してある。


確信度が周期的に変化しているのは足がカメラから遠くなったりLEDの照射範囲から外れるためである。このように非常に良く画像認識できていることがわかる。


今後の展開

LEDをカメラのすぐ近くにあるものと、少し離れた所にあるものを交互に点滅させて各画像の差分を取るとカメラのすぐ近くにLEDがあるときのみ再帰性反射材の効果が現れるので、周りが明るいところでも画像認識可能ということを企画委員の人に教えてもらったので、明るい所でも使える再帰性反射材認識装置を作るのも面白いかもしれない。また、動物の瞳が再帰性反射材であることを利用したアイとレッカーなども面白いかもしれない。


終わりに


以上が悪魔研がVRanko製作において作成した電気回路の概要である。

今回は当初心配していたよりもはるかに良い認識ができてよかった。

画像認識を提案してくださった中上氏には感謝いたします。

また、再帰性反射材について様々なことをお教えいただいた上、性能のよい再帰性反射材を下さった企画委員の方に感謝いたします。