多節リンク汎用解析システム LCL


かわさきロボット要素技術研究室 : 中上 匠(なかうえ たくみ)

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LCLとは

LCLは Link Construction Laboratory の略で、任意形状多節リンクの 順方向解析を行うプログラムです。
かわさき研ではかわさきロボット大会向けの多足歩行式ロボットを製作 しています。その脚構造に多用されるリンク構造は非常に多くのパラメ ータを持ち、模型の製作等での構造決定は困難なことがあります。そこ でコンピュータによりリンクの挙動を視覚化し、設計を支援するプログ ラムを製作しました。

4節リンク汎用解析システム LCL ver1

概要
現在かわさきロボットで使われている脚リンクは揺動リンクとChebyshev 直動リンクに大別されます。また、腕構造には近似直動リンクが用いられ ることもあります。これらは全て4節リンクであり、多節リンクの表現は 困難であると考えていたため、当初は4節リンク専用のプログラムを開発 しました。
アルゴリズムは至って単純で、リンクの交点pを円の連立方程式で求めて います。もちろん二次方程式からは解が二つ出てくるので、どちらを採用 するか指定するパラメータが存在します。
LCL ver1の限界
LCL ver1の開発により多くのリンクを視覚化することが可能になり、従来 よりも効率的にリンク機構を検討することが出来るようになりました。
ところが、より良い機構を追求すればするほど逆にLCLの限界が壁となりは じめます。実際に機構を設計する上では中枢部の挙動だけではなく、付随 する部分の挙動も重要だからです。
一時は解析したい脚構造専用のLCLなども製作しましたが、なまじ専用プロ グラムを多数作るよりは汎用の物を一つ用意する方が望ましいでしょう。 そしてLCL ver2の開発が始まりました。

多節リンク汎用解析システム LCL ver2

アルゴリズム
まず、4節リンクの固定節を除いた3節を、原動節と2節リンクに分解するこ とにしました。2節リンクを任意個接いでいけば多節リンクが構成されます。 また、スライダクランク、スロッテッド(slotted)クランク、1節リンク等も 接ぐことが出来れば、より一般化された形状を扱えます。これらを総称して ノードと呼んでいますが、ノードは任意の計算済の点を支点とします。点は ノードの端点のみならず、節からの相対座標でも定義出来るので三角板リン クなども表現可能です。
各リンクの交点はver1と同じく円の方程式によって求められます。
多節リンクでは計算順序が問題となりますが、これはユーザーの定義順に計 算することにより回避しています。よって計算順序を指定出来ないリンクは 残念ながら解析出来ません。
リンク記述言語
LCL ver2ではリンク構造を大幅に拡張したためver1のようなパラメータのみ を与える方式は使えなくなりました。
リンク構造の指示にはCADのようなインターフェースが理想的なのかも知れま せんが、GUIは開発が大変です。そこで専用言語のインタープリタとしてver2 を実装しました。
詳細は略しますがこの言語はリンクの形状定義のみならず実数型、整数型、 文字列型の各変数、制御構文、標準入出力等を持つため自由度の高い記述が 可能です。例えば節の長さを変数で指定すれば、エアシリンダーを表現出来 ます。
難点は文法の参考になる言語がなかった上、構文解析部をコマンドラインイ ンタープリタの行解析で代用したため、BASIC、C、Pascal、FORTRAN、アセン ブラ、シェルスクリプトの文法が入り混じった、個性溢れる仕様になってい ることです。
動作環境
現在LCLはX680x0、PC-9801の二機種で動作しています。turbo Cグラフィック スライブラリの互換性からPC/AT互換機でもおそらく動作します。ただし最新 版のver2.1はX680x0用しか開発されていません。

今後の展望

今後LCLをどのように発展させるはまだ判りませんが、さしあたって思い付い た物を挙げておきます。
文法の整理
現在LCL ver3を開発中です。機能的にはver2と変わりませんが、文法をCライ クな物に統一してより使いやすくします。
CADとの融合
入力は難しいかも知れませんが、リンクの構造をCADデータとして出力すれば 設計をもっと支援出来ます。干渉チェックも設計ミスを減らせるでしょう。
リンクの総合と遺伝的アルゴリズム
より理想的なリンク設計のためには、順方向解析のみならず総合(逆解析)も 必要となるでしょう。ただしこれは解析に比べ遥かに難しく、任意形状のリ ンクに対して行うことは不可能です。また、厳正通過点を与えるため、最適 な経路が得られるとは限りません。
総合が困難であるならば、解に目星を付けておき、解析によって解を探索す る方法が考えられます。これをしらみ潰しに行ったのでは効率が悪すぎます。 遺伝的アルゴリズムもしくは類似の方法の導入が有効と思われます。
三次元化、物理法則の導入、リンク以外の機構
とりあえず必要性は感じていませんが、作ればなにか良いことがあるかも知 れません。




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